ムダ毛を見直してみませんか?

人類は地上の環境変化に伴う変動に耐え、自らも変化することで適合してきました。まさに自然淘汰の中で適者生存の原理を利用してきたのが、われわれ人類だといえるのです。

さて、人類の適者生存の裏には、環境の変化に適合できるような身体上の変化が伴いました。外部の生命体が人類の体内で固有の機能を有し、人類の生存にとってなくてはならない存在となったミトコンドリアなどは、人類の進化の過程で有用なものが付加された例です。他方、進化の過程で、いわゆるムダとされ退化の経過をたどった器官もありました。現代において、人類の諸器官の中でムダの代名詞的存在となりうるものといったら、その名の通りムダ毛が筆頭に上がるでしょう。

確かに、ムダ毛といわれる体毛は、かつて有用な機能であった保護機能、保温機能などは無用でしょう。しかし、知覚機能は、脱毛によってその機能がなくなると皮膚感覚が鈍ったり、不器用になるという報告があります。毛先から伝わる感覚と皮膚表面から伝わる感覚は微妙に異なっているので、多様な感覚神経を駆使することが人間の機敏さに一役かっているのです。つまり、ムダ毛と一般に揶揄されている毛は、実は、人間の微細な感覚を研ぎすましておくために、ぜひとも必要なものなのです。こうしてみると、人間の器官のうち、付属品や無用のものと思われているものに重要な機能が隠されている可能性があることが否めないことが分かると思います。この機に、ムダ毛を見直してみませんか。